ボルトジョイントの自己緩みはどのようにして発生
ボルトジョイントは簡単に何回でも取り外しできます。 これは大きなメリットです。 しかし、これがある特定の条件の下で意図しない緩みが発生するという危険なリスクをともないます。 なぜ自己緩みが発生するのか理解することが、信頼できるボルトジョイントを設計し、それを防ぐ本質的な要求です。 ほとんどのアプリケーションでは、当然ボルトに掛かる軸力に部品間の締結は依存します。 ボルトジョイントに横方向の負荷が作用するような場合、ボルトの軸力により発生する摩擦力より、この横方向の負荷力がより大きくなると、ネジの嵌め合い面やボルト座面の摩擦力は無くなり単純な傾斜面と同じ状態になってしまい、繰り返される横方向の動きでファスナーは緩んでしまいます。

締め付けトルクはどこに使われる?
ボルトを締め付けるのに必要なトルク(M)は、ボルト座面摩擦力(M)、ネジ部摩擦力(M)、ネジピッチ摩擦力(MTP)に分割できます。
clampforth
TP=(F‐P)/2・π             (1)

= F・(d2/2)・(μG/cos(α/2))       (2)

= F・DKM・μK                (3)

: ボルト軸力
μK: ボルト座面摩擦力
μG: ネジ部摩擦力
P: ネジピッチ

ボルト座面摩擦力M、あるいはネジピッチ摩擦力MTP が、わずか5%増加しただけで、多分軸力の50%が減少することを意味します。

外部からの負荷が何も掛かることがないボルトジョイントでは、ネジピッチ摩擦力MTPは常 にネジ部摩擦力Mとボルト座面摩擦力MKの合計値より小さくなります。 これは緩み 止め効果と呼ばれ、ボルト軸の伸びと被締結物の圧縮による力のバランスが取れている時で す。

TP<M+M

しかしながら実際のボルトジョイントは周囲からの影響を受け、上記のバランスの変化を招き、そして軸力の自然減少が起きます。

ボルトジョイントが緩むには何が必要か?
ボルトジョイントを緩めるためには角運動力(トルク)M必要です。
clampforth

=‐MTP+M+M

ネジピッチ摩擦力MTPはボルトを緩めないようにする力として働きます。 Mは内部オフトルクと言われます。 そして、内部オフトルクが、ボルトが回転しないように作用する角運動力(トルク) M+Mより大きくなるときに自己緩みが発生します。

k座面トルクは、軸に対して直角方向の振動で発生するボルトナットの浮きによる摩擦ロスにより減少します。

TP>M+M

自己緩み 
緩み始める限界のスリップトルクは下記の公式で計算することができます。

s=FV ・ μ・lK3/12・E I

s: 限界スリップトルク
FV: ボルト軸力
μ: ヘッド座面摩擦力
lK: クランプ長
E I: ボルト強度

*クランプ長
clamp length DIN 25201やISO 16130は、このクランプ長を厳格に規定している理由は、この公式からこの値は3乗で限界スリップトルクに影響するからです。 単純に説明するとクランプ長が2倍になると、他の条件が全く同じ場合でも限界スリップトルクは8倍になり、より緩みにくくなる結果になるからです。

ネジ部の緩みトルク Q=-L・tanφ
clampforth clampforth
Gerhald Junkerが導き出したボルト軸に対する横方向からの緩みトルクの解析結果の公式。

ボルトとナットの間に相対的な回転のない緩み
ボルトとナットの間に関連する回転運動が全くない場合で緩む場合は、それはボルトの弛緩、あるいは、ボルトやナットが被締結材へ陥没したことが原因と考えられます。

陥没はボルト座面やナット座面で発生する締結部品の塑性変化によるもの、締結表面、あるいはネジ山の嵌合による表面の平坦化によるものに代表されます。 これが発生するのは、ボルトの降伏点以下の締付けによるボルトの弛緩、あるいは材料間の接触面圧が、設計された接触面積より実際の接触面積が極端に大きい場合に発生します。

実際には、ボルトとナットの弛緩緩みが軸力の減少を起こし、その後にボルトやナットが回転し始め、ボルトナットの脱落、惹いてはボルトの疲労破断を起こすことになります。

トルクと軸力
T=K・F・D

T: トルク
K: ナットファクター
F: 軸力
D: ボルト呼び径

ユンカー試験スタンドで計測できるKは、軸力に影響を与える全てのファクターを統合する『ナッツファクター』として知られている係数です。 それは、トルクが負荷される時軸力の上昇率を線形にモデル化する経験的な係数です。


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