グラフで見る DIN 25201・ユンカー振動試験
DIN 25201
DIN 65151ではロック機能の比較評価ができないという不備を補うための全く新しい規格がDIN25201です。 2010年に発行され、その優位性で海外では既にユンカー式振動試験と言えば、この規格試験を指しています。
ユンカー式振動(ボルト軸に正確に直角方向に振動を与える)の発生装置は、ボルトファスナーを保持する固定プレート(Stationary plate)に軸力センサーとボルトが回転するのを防止する装置を取り付け、振動を発生させるグライダープレート(Glider plate)にISO 規格のテストワッシャーを必ず取り付けてからナット(ロックナット)を締め付けてから試験をすることが条件です。
ボルトヘッドの座面からナット上面までのクランプ長についても、クランプ長比(clamp length ratio)として、ボルト呼び径1に対し1.7となるように規定しています。 たとえば、ボルト呼び径が8mmであれば、ナットは13.6mm離した点で試験するための軸力になるように、ボルトファスナーはセットされていなければならない。
DIN 25201は、比較評価をより確実にするため、試験振動数も12.5Hzと指定し、横変位量(transverce displacement)も詳細に規定しています。 横変位量を決定するための、ロック機能のついていないボルトファスナー(実際に使用されるロック機能付きのファスナーと全く同じスペック)で行われる参照試験と、実際に使用されるロック機能の付いたボルトファスナーを使った検証試験という異なった意味を持つ二種類の試験を要求しています。
横変位量を決める参照試験
ロック機能の性能を客観的に相対評価するために、横変位量の求め方も規定しています。 横変位量は振幅の1/2で±"で表されます。
ロック機能だけが付いていない試験するボルトファスナーと全く同じタイプのボルトファスナーを使い、振動数12.5Hzの振動を与え振動回数が300±100振動回で初期の軸力を完全に喪失させる横変位量を求めます。
求められた横変位量が正しいかどうか、さらに3セットの新品セットで確認して決定します。 この試験の各試験セットの軸力減衰カーブは、正式な試験結果報告書に添付することが要求されています。
この参照試験の結果は、横変位量が±0.7oの時、振動回数293振動回で初期負荷軸力が完全消失したことを示しており、このボルトファスナーの試験横変位量と決定します(3回の確認を行う。)
実際に使用されるロック機能付きのボルトファスナーの検証試験
参照試験で得られた横変位量±0.7mm、振動数12.5Hzの設定条件で、負荷振動回数2,000回の試験を、実際に使われるロック機能の付いたボルトファスナーに行います。
DIN 25201では、ロック機能(緩み止め効果)を客観的に判定できます。 2,000振動回数負荷後に軸力が初期負荷値に対し80%以上残っていれば緩み止め効果があると評価しても良いことになっています。 また、軸力の減衰カーブも一定的であることも評価の対象になっています。
この試験仕様でトータル12セットの全く新しいボルトファスナーセットで試験することも要求され、12回総てで残留軸力の判定を行わなければなりません。
DIN 25201では、ワッシャーも詳細にISO規格の物を使うように規定しています。
下図のグラフは、ワッシャーの重要性を検証するための模擬テストです。
AもBも全く同じ、M6・SUSボルト、かしめナット、ISOワッシャーセットを使った試験ですが、違いはただ一点だけ、BはAで使用したワッシャーを使い回ししたという点です。
ワッシャー表面が、一度締め付けられただけでその面粗度が変化し、同じ軸力で締め付けられた全く同じスペックのファスナーでも、緩み止め効果に明らかに大きな差が出ていることが一目で判ります。
ワッシャーが古いDIN 65151では無視されていましたが、新しい規格DIN 25201では厳しく規定している理由がこの点にあります。
DIN 65151と新しいDIN 25201の早見表
DIN 25201の振動試験は、ファスナーメーカーには自社製品の緩み止め効果を具体的で客観的にユーザーにアピールでき、ファスナーユーザーにはボルトを採用する上での強力な選択ツールとして使用できます。
ISO 16130詳細へ
DIN 65151ではロック機能の比較評価ができないという不備を補うための全く新しい規格がDIN25201です。 2010年に発行され、その優位性で海外では既にユンカー式振動試験と言えば、この規格試験を指しています。

ユンカー式振動(ボルト軸に正確に直角方向に振動を与える)の発生装置は、ボルトファスナーを保持する固定プレート(Stationary plate)に軸力センサーとボルトが回転するのを防止する装置を取り付け、振動を発生させるグライダープレート(Glider plate)にISO 規格のテストワッシャーを必ず取り付けてからナット(ロックナット)を締め付けてから試験をすることが条件です。
ボルトヘッドの座面からナット上面までのクランプ長についても、クランプ長比(clamp length ratio)として、ボルト呼び径1に対し1.7となるように規定しています。 たとえば、ボルト呼び径が8mmであれば、ナットは13.6mm離した点で試験するための軸力になるように、ボルトファスナーはセットされていなければならない。
DIN 25201は、比較評価をより確実にするため、試験振動数も12.5Hzと指定し、横変位量(transverce displacement)も詳細に規定しています。 横変位量を決定するための、ロック機能のついていないボルトファスナー(実際に使用されるロック機能付きのファスナーと全く同じスペック)で行われる参照試験と、実際に使用されるロック機能の付いたボルトファスナーを使った検証試験という異なった意味を持つ二種類の試験を要求しています。
横変位量を決める参照試験
ロック機能の性能を客観的に相対評価するために、横変位量の求め方も規定しています。 横変位量は振幅の1/2で±"で表されます。
ロック機能だけが付いていない試験するボルトファスナーと全く同じタイプのボルトファスナーを使い、振動数12.5Hzの振動を与え振動回数が300±100振動回で初期の軸力を完全に喪失させる横変位量を求めます。
求められた横変位量が正しいかどうか、さらに3セットの新品セットで確認して決定します。 この試験の各試験セットの軸力減衰カーブは、正式な試験結果報告書に添付することが要求されています。

この参照試験の結果は、横変位量が±0.7oの時、振動回数293振動回で初期負荷軸力が完全消失したことを示しており、このボルトファスナーの試験横変位量と決定します(3回の確認を行う。)
実際に使用されるロック機能付きのボルトファスナーの検証試験
参照試験で得られた横変位量±0.7mm、振動数12.5Hzの設定条件で、負荷振動回数2,000回の試験を、実際に使われるロック機能の付いたボルトファスナーに行います。

DIN 25201では、ロック機能(緩み止め効果)を客観的に判定できます。 2,000振動回数負荷後に軸力が初期負荷値に対し80%以上残っていれば緩み止め効果があると評価しても良いことになっています。 また、軸力の減衰カーブも一定的であることも評価の対象になっています。
この試験仕様でトータル12セットの全く新しいボルトファスナーセットで試験することも要求され、12回総てで残留軸力の判定を行わなければなりません。
DIN 25201では、ワッシャーも詳細にISO規格の物を使うように規定しています。
下図のグラフは、ワッシャーの重要性を検証するための模擬テストです。
AもBも全く同じ、M6・SUSボルト、かしめナット、ISOワッシャーセットを使った試験ですが、違いはただ一点だけ、BはAで使用したワッシャーを使い回ししたという点です。

ワッシャー表面が、一度締め付けられただけでその面粗度が変化し、同じ軸力で締め付けられた全く同じスペックのファスナーでも、緩み止め効果に明らかに大きな差が出ていることが一目で判ります。
ワッシャーが古いDIN 65151では無視されていましたが、新しい規格DIN 25201では厳しく規定している理由がこの点にあります。
DIN 65151と新しいDIN 25201の早見表
内 容 | DIN 65151 | DIN 25201 |
---|---|---|
テストタイプと試験方法 |
テストのタイプや試験方法の規定はない。
ユーザーが任意でテストプロトコルを作成できる。 |
効果的な横変位量を求めるために、ロック機能が付いていないボルトファスナー(実際に使用されるロック機能の付いたファスナーと全く同じ形状、材質、ネジ仕様)で行う参照試験。
参照試験で得られた横変位量で、実際に使用するロック機能の付いたボルトファスナーに行う検証試験。 検証試験は12セットのファスナーに行い、ロック機能を判定評価する。 試験振動数は12.5Hz、2,000振動回と明確に指定されている。 |
テストパラメーターとテストフィッティング |
テストパラメーターは無い。
ワッシャーの使用は規定されていない。 ワッシャーやボルト・ナットとのクランプ長の指定もない。 |
振動数は12.5Hz、横変位量は参照試験で求める。 判定評価のための負荷振動回数は2,000回。
ワッシャーはISO 7093-1、とISO 4759-3の規定品、必ず試験毎に新品を使用しなければならない。 クランプ長比は1:1.7でなければならない。 |
判定評価 | ファスナーメーカーの裁量。 |
振動を2,000回負荷し、その時の残留軸力が80%を境に良否判定。
軸力減衰カーブの安定性も判定の基準とする。 |
試験結果の流用 | 一つのサイズの試験評価を、全てのサイズに流用できる。 |
試験結果を他のサイズのファスナーに流用してはならない。
全てのファスナーサイズを試験しなければならない。 |
試験報告書 | 厳密な試験結果報告書は要求されていない。 | 報告書に記載しなければならない項目が細かく規定されている。 |
DIN 25201の振動試験は、ファスナーメーカーには自社製品の緩み止め効果を具体的で客観的にユーザーにアピールでき、ファスナーユーザーにはボルトを採用する上での強力な選択ツールとして使用できます。
ISO 16130詳細へ