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SCHATZ社、製品開発責任者Dr.Ottoとのパルスツールの見解

2012年2月中旬、Schatz社の製品開発責任者Dr. Cristoph Ottoが、某ツールメーカーと自動車メーカで、ヨーロッパ、アメリカ、韓国などでどのようにSchats計測装置が使用されているか、Schatz社の技術的情報などのセミナーを行うため来日しました。

食事中に、パルスツールの世界的な流れや、Schatz社の技術的見解などを伺いました。

一問一答形式でご紹介します。

問) 
日本では、オイルパルスツールが締め付け工具としてかなり重要な部位に使用されるようになりましたが、ヨーロッパやアメリカでは、どのような状況ですか、そして韓国の事情は?

Otto)
ヨーロッパの自動車メーカーでは、パルスツールは使用されていないようです。ヨーロッパの自動車メーカーで使っているのは、トラック製造ラインくらいで、重要な部品の組み付けには使用しないのが常識です。
アメリカのメーカーは日本と同じようですが、必ずパルスツールで最終締め付けまで使わず、トルクレンチで指定トルクで締めているようです。
韓国の自動車メーカーは100%パルスツールのようです。

問)
日本人は体型がヨーロッパやアメリカ人に比べ小さく腕力が非力で、ナットランナーのような反力のある工具を長時間使用できないが?

Otto)
フランスやイタリー人も、ドイツやイギリス、東欧人に比べ小さい人が多いですよ(笑い・・・)
しかし、フランスもイタリーも余りパルスツールを、重要な部品の組み立てには使用していません。基本的に、技術者の考え方が、パルスツールはモーター出力軸とボルト・ナットの締め付け軸が直結しておらず、そしてボルト・ナットの締め付けが瞬間的に負荷されるタイプのトルク管理に信頼を置いていないからかもしれません。
ですから、パルスツールは予備締めに使用して、最終的にトルクレンチ類を使ってジョイントの品質管理をしています。トルクが大きく反力が問題になる場合は、固定シャフトのインラインシステムで組み立てるのがほとんどです。

問)
重要な部品とは何ですか?

Otto)
ドイツには、VDI、VDAというスタンダードがあります。VDIはドイツ全産業の技術者が加入する協会があり、ここで話し合われた様々な規格が標準化され、VDAは自動車産業の技術者が参画する団体です。VDIの標準の中に、自動車部品を3つのカテゴリーに区分して、その部品の故障で起きる事故の重大性によりA,B,Cに分けています。
カテゴリーAが一番重要な部品で、人の生命に危険を及ぼすか、車が全損するような重大な事故につながる可能性の高い、ブレーキ装置やエンジンなどのような部品です。詳しくは、明日からのセミナーを聞いてください。(笑い・・・)

問)
パルスツールを使用するために、何が必要だと考えていますか?

Otto)
パルスツールを使う上では、定期的なツールの試験を数多く行い、統計的な分析と工具評価をすることが最も重要と考えています。
一例として、アメリカの自動車メーカーが採用している方法をご紹介しましょう。
先ず、ボルトを徹底的に分析しています。潤滑しているか、コーティングされているか、その摩擦影響、降伏点、破壊点などなど、ボルトメーカーが提供する技術資料だけでなく、自動車メーカーが実際の部材で試験しています。もちろん、SCHATZ−Analyzeシステムが使われています。
次にパルスツールを、定期的で頻繁にMCTテストとKICテストを行っています。これにはSchatz cerーTESTが使われ、その検定データは3年間の保管を義務付けています。
最後にプロセステストを、ダイアルレンチでジョイントに合わせた増し締めトルク試験を行っています。

問) パルスツールを使うのは、とても面倒な手順が必要のようですね?

Otto)
品質管理のためですからすべて必要な手順ですが、Schatz社の各種計測装置をご使用頂ければ手軽に、すべて自動的に完了できます。

問)
最後に、センサー内蔵タイプのパルスツールであれば、かなり正確なトルク管理ができるのでは?

ツール自体は精度良くコントロールできるかも知れません。しかし、実際の締め付けではソケットを使いますね?ですから、ツールとの取り付け側とボルトヘッド、あるいはナットとの間にどうしてもギャップが出ます。ナットランナーの挙動は一方向の回転で、締め付け中のこれらのギャップは余り影響しませんが、パルスツールではミクロで考察すると、パルスの発生ごとにこの両サイド(工具側とボルト側)のギャップでエネルギーロスが発生しています。非常に複雑で解析できませんが、これがセンサーの感知トルクと、実際の締め付けトルクの微妙な差につながリます。ナットランナーに比べパルスツールの信頼性が疑われる原因の一つではないでしょうか。


Schatz cer-TESTモービルテストベンチは、ISO 17104のパルスツール検定試験方法で簡単に試験できます。